インクジェット関連
1.はじめに
近年、テキスタイル分野のみでなく産業資材分野においても、従来のオートスクリーン捺染機やロータリースクリーン捺染機の様な従来の捺染機にかわり、インクジェットプリンタでの捺染へ移行が進んでおります。また、インクジェットプリンタの技術革新により、プリントスピードは年々飛躍的に向上しております。インクジェットプリンタの機種によっては、オートスクリーン捺染機と同等もしくはそれよりもプリントスピードが速いものも出てきております。
この様なインクジェットプリンタの技術革新は、今後より従来の捺染機や印刷機からインクジェットプリンタへの切り替えを推し進めていくと考えられます。
そのため、今後ますますインクジェットプリント加工が主流になり、それに合わせてインクジェットプリント加工用の前処理剤の需要が高まると思われます。
2.前処理剤の必要性
先に記述致しました様に、インクジェットプリンタの性能は、年々飛躍的に向上しております。しかしながら、生地等へ前処理剤を予め塗布することなしに直接インクジェットプリントを行いますと、絵柄の滲みの発生や、鮮明な発色が得られない結果となってしまいます。また、使用する前処理次第で、発色濃度や柄際のシャープ性及び色相などの諸性能が大きく変わります。 このような理由から、テキスタイル分野及び産業資材分野におけるインクジェットプリント加工には、前処理剤はなくてはならない存在となっております。
特に、水系のインクを使用する場合は、必ず前処理剤が必要となります。
※画像は処理前と処理後を比較しています。
3.前処理剤の選定について
前処理剤の選定は、インクジェットプリント加工を成功させるために非常に重要なポイントとなっております。 前処理剤は、下記の項目の情報をもとに選定を進める必要があります。A. 加工に使用するインク
特にどのインクメーカーのインクを使用されるかがポイントとなります。B. 加工に使用するプリンタ
どのメーカーのプリンタを使用されるか、また最近主流になっているベルト搬送式のインクジェットプリンタであるか否かがポイントとなります。C. 加工する生地 (素材について)
加工する生地が、綿、レーヨン、ポリエステル等どのような素材になっているかがポイントとなります。D. 前処理加工に使用する機械(前処理機について)
前処理機がパディング機であるのか、コーティング機であるのか等、どのような機械構造になっているかがポイントとなります。.....特に、使用されるインクは非常に重要な要素となります。「反応性染料インク」というように同系統のインクであったとしても、各インクメーカーにより、インクの組成が異なります。そのため、インクと前処理剤の相性次第で結果の良し悪しが決まります。言い換えますと、「例え他社のインクで実績がある前処理剤でも、使用されるインクが変われば良い結果がでるとは限らない。」ということになります。
使用されるプリンタがベルト搬送式のインクジェットプリンタである場合、前処理剤を付着させた前処理布は、柔らかいことが必要となります。これは、生地搬送用のベルトに生地を確実に接着させるためです。もし風合いが硬いと、生地が波打つなどして、ベルトに確実に張り付かない問題が発生してしまいます。
4. 各製品と対応する素材及びインクについて
インクの種類 | 素材 | パディング法用 | コーティング法用 |
---|---|---|---|
反応染料インク | 綿 レーヨン シルク ウール |
PRE-Cシリーズ | PRE-CHシリーズ |
分散染料インク | ポリエステル | PRE-Pシリーズ | PRE-PHシリーズ |
酸性染料インク | シルク ナイロン ウール |
PRE-Aシリーズ | PRE-AHシリーズ |
昇華分散インク | ポリエステル | PRE-Bシリーズ | PRE-BHシリーズ |
顔料インク | 綿 ポリエステルなど |
PRE-Gシリーズ | PRE-GHシリーズ |
【ウールの加工に関する注意事項】
※反応性染料インク及び酸性染料インクの何れにおきましても、ウール繊維への前処理剤及びインクの馴染みを良くさせるための助剤を添加してください。弊社製品では、Penezol WCがあります。
※毛羽が立っている生地へのインクジェットプリント加工では、プリント時のヘッドの接触や、又、プリント面に染めムラが発生する等の問題が起こります。そのため、毛焼きが適切に行われ、生地表面が平滑な生地を選択し使用してください。
※反応性染料インク及び酸性染料インクの何れにおきましても、ウール繊維への前処理剤及びインクの馴染みを良くさせるための助剤を添加してください。弊社製品では、Penezol WCがあります。
※毛羽が立っている生地へのインクジェットプリント加工では、プリント時のヘッドの接触や、又、プリント面に染めムラが発生する等の問題が起こります。そのため、毛焼きが適切に行われ、生地表面が平滑な生地を選択し使用してください。
5. 各前処理剤について
何れの製品におきましても、パウダー品及びペースト品をご用意しております。前処理加工方法や加工される素材等をお伝えいただきますと、その加工方法に適した前処理剤をご提案させていただきます。
カタログや資料の請求、製品についてのご質問等がありましたら、「前処理剤の件で」とお気軽にお問い合わせください。